2009年11月6日

The Savage Club

ちょっと今日はありえないくらい面白い一日だったので忘れる前に日記にしておきます。


まず朝ショップからの電話で目が覚める。なんか勤務店を変えないか、という打診だったのだけど一番好きなエリアなので時間などの条件さえ合えば行ってもいいかな、とかコーヒーを煎れながらボーっと考える。通勤ちょっと面倒になるけどね。

そして買ったばかりのDVD、Stormy Weatherを観ながら何本がメールの返信をして昼過ぎにJazz Bandを見にグリニッジまで行く。
久々に顔を出したのでみんな(何度も言うけど全員老人)が元気にしてたか?と色々心配してくれたり、来るって言うから席とっといたよ、って一番前の常連席をリザーブしておいてくれたりして、なんかこんなに優しい人たちに囲まれて自分は本当に幸せ者だとつくづくおもう。

ちなみにクラリネットのNickは「君も風邪?多分私が移したか君のが私に移ったかどっちかだね、今日はあまり調子がよくないみたいなんだ」と言っていたが、その割にはWolverine Bluesを完璧に吹ききっていて、それがあまりにもカッコいいアレンジだったからまたしても惚れ直した。本当にこの人には長生きして欲しい。

そして終了間際に「会社に行く途中に寄った」といいながら現れたバンジョー奏者Nick Singerと目的地が同じ方向なので一緒に帰る事にし、成り行きでそのままAngelにある彼の会社へ社会科見学に行く。
というのもこの人、セミプロのミュージシャンでありながら科学者の顔も持つ興味深い人で、Angelにある小さな会社で代表を務めているのだけどその会社ってのがロボット制作をしている会社なのだ。
Nasaとか国軍事関係をクライアントに持ついわば最先端のロボット技術会社なのだが、そのオフィスは至って普通。というか普通以下。道ばたにある曇りガラスのよく判んないテナント店舗、もしくは不法ポルノ店?といった佇まいである。会社名も外に出ていない。
しかしそれは勿論外見でどんな会社か判ってしまうと強盗に入られる危険性が高まるからという理由で不法ポルノ店的店構えなのであって、一旦中に入ると14人のトップブレーン達がそれぞれのデスクでICチップを手作業で作ったり、ロボットに向けて発信する電子プログラムの構築などをコツコツと行っていた。
ちなみに作業場に入る前、機密関連の契約書にサインさせられたのだが、心配しなくても何やってるかまるで理解不能なんで大丈夫っす。

十分にロボット制作現場の見学及び博士レベルのオタク達の熱弁を聞いたあと、Nickとまた後で飲みに行く約束をして一旦ビデオを返して、おばちゃんの店でスカーフと帽子を買い、それからタップのクラスに出席するためCovent Gardenへ。
今日のTapはいつもと同じ先生が本当に初心者用にレベル設定してくれたクラス。基礎中の基礎「シャッフル」の練習から始めたのにも関わらず、一時間後には生徒6人全員がタイムステップを踏めるまでに成長しているというミラクル発生。本当に良い先生なんだと思う。一人一人にちゃんと時間をかけて出来るようになるまでアドバイスをくれ、音楽と合わせたときのカウントの仕方などテクニック以外のことまでわかりやすく説明してくれた。Derek Hartleyという先生です。大好き。

クラスが終わってからFoylesで本を一冊買い、Nickと飲みにいくためバスでChalk Farmまで向かう。が、Foyles前のバスストップで小説家だと名乗る中年の男の人に「あなた珍しいほど素晴らしい格好してますね。今とある調査の仕事で普段あまり人がしないことにチャレンジしてくれるモデルを探してるんですけど、是非やってくれませんか?報酬は沢山出ます」と話しかけられる。
「色んな事って何しなきゃいけないの?」と聞き返すと「例えば街では皆、靴を履いて歩いてますよね。そこを靴無しで歩いてみて周りの反応を見る、とかそういったチャレンジです」という。なんじゃそりゃ。
「えっと、街を靴なしで歩くとかそういう自分の中で大切にしているモラルに反する事は凄くストレスになるのでできません」と断ると「少し頭の回転の良すぎる方を相手にしてしまった。残念ですが諦めます」といってその男は去って行った。

そんなよくわからん足止めをくらいつつ、やっとChalk Farmにある目的地のパブに着くとなんといつもやってるレギュラーのニューオリンズ・ジャズバンドじゃなくすっげーダッサいプログレジャズみたいのがやってる!ありえん!
ということで2人して無言で踵を返し、「どこ行こうか?100Clubに行く?あーでも今日は良いバンドじゃないね」なんて言いながら夜道を腕組みしながら歩いていると、急にNickが「あ!じゃあSavage Clubに行ってみない?会員なんだ」といって私の服装を素早く確認、「大丈夫だ」と言い「僕のタイはエントランスが貸してくれる」と言ってEmbankment行きのTubeに乗せられる。
「ねえSavage Clubってなに?会員制のジェントルマンズクラブみたいな所?」と聞くと
「そうさ、ロンドンのボヘミアン・ジェントルマンズクラブの先駆けみたいな場所でね、いつ行っても興味深い人たちがいるから行ってつまらない思いをした試しがないんだ」という。

とにかくよく掴めないままに到着すると、なんという門構え!



というのもここはかの有名なナショナル・リベラル・クラブ。どうやらSavageはこのリベラルクラブという大きな会員制クラブの中に属するクラブらしい。
中に入るとシャンデリアのホールから上に延々とつづく螺旋の階段。
ポーターの男の人が「お久しぶりですね、タイご用意しときましたよ(笑)」となんとも気の利いた(もちろん用意してたわけではない)挨拶をして、さりげなく私のスカーフにマッチした色調のタイをNickに手渡している。
それからホールを通り、大広間を横切り、奥にある小さな暗証番号キー付きのドアを開けて中に入ると、まるで誰かの家の書庫にいるような小さくて落ち着いた雰囲気のバーで2人程男の人が飲んでいた。
両人ともNickから紹介され、片方は裁判官、もう一人は文学をしている人ということが判明。壁中が本棚みたいになってるのだが、その本は全て歴代の会員の著作物であるという。
それからお金を払えば誰でもいいというわけではなく、Savageの会員になるためにはアート、ドラマ、ミュージック、文学、法律、科学の6つの分野のうちどれかに属し、かつ会員2名からの推薦状がないといけないらしい。
とにかく空いた口が塞がらないわけだが、それに追い打ちをかけるかのようにゴージャスな階段をあがった2階にある書庫に案内してくれるNick。

うおーー!テンション上がるよこれは。メチャクチャ高い天井の大きな図書室に古い書物がぎっしり詰まっていて、座り心地のよさそうなチェスターチェアや4人がけのカードテーブルなんかもあったりしてまるで夢のようである。
天井には奇麗な模様が埋め込まれてあり、窓の外にはテラスがあってその目の前にはテムズ川、向こう岸にサウスバンク/ロンドンアイが見える。

ちょうどTop Hatの最初のシーンのような感じの部屋!時間が時間で誰もいなかったけどね。


それからまたバーに戻ってさっきの人たちに色々と面白い話をしてもらっていると、胸に黄色いバラをつけたおじいさんの会員が入って来て、「あれぇ?レディがいるぞ。今日入れてもいいってルールならわしも3人程入れたいんだがいいかい?」という。なにそれ?とNickに聞くとどうやら火曜と水曜の夜以外女性はクラブ内立ち入り禁止なんだとか。ルール違反なのかよ私!まあNickだから、ということで許されるらしくそのまま11時過ぎまでひたすら飲んで会話して、「こんな面白い所に連れて来てくれて本当にありがとう!」とNickにお礼を言って帰って来た。あー久しぶりに気持ちよく酔っぱらって楽しかったー。

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