2010年1月12日

Viewpoints of the West and the East



 東京都写真美術館(以下、写美)へ『木村伊兵衛とアンリ・カルティエ・ブレッソン』を観に行ってきた。僕も若輩ながら一応ライカ使いなのでやはりこれは無視できない展覧会だ。僕は写真を学校で学んだことがないので写真史において木村伊兵衛やブレッソンがどんな時代にどのような交流を持って写真を撮っていたのか詳しくは知らない。だけれど、どちらの写真もいわゆる「決定的瞬間」を捉えた元祖ストリートスナッパーだという認識だ。伊兵衛の作品はこれまでもちょこちょこ実物を見る機会はあったけれど、ブレッソンはこれだけまとめて観るのは初めてだったと思う。作品集などでは何度も観ているお気に入りの作品もオリジナルをみると全然違う。本当に違うのだ。
 やはりカメラという機械を使うことに関しては西洋人のブレッソンに一日(いちじつ)の長(ちょう)があるように思う。自分の好みということもあるけれど、伊兵衛の作品はどうしても日本人の穏やかな性格が表れているように感じられる。良く言えば白から黒への階調が豊か、だけれどキレが足りないように感じる。一方、ブレッソンは伊兵衛のそれより白と黒がハッキリとしていてよりシャープでキリッとした印象だ。これは観る人の好みにも寄るだろうけど、僕はある程度白と黒がハッキリとしてシャープな写真が好きだし、格好いいと感じる。その点でやはりブレッソンの作品により引き込まれた。
 この展覧会で面白かったのが、展示の最後に二人のベタ焼き(いまでいうコンタクトシート)がそれぞれ10点ほど展示されており、フィルム一本をどのように撮ったのかというのがうかがい知れた。伊兵衛は移動しながら色んな場所をサクサク撮っている感じで、同じ場所、同じ被写体を様々な構図を試したり露出を変えて撮ったりというのが少ない一方、ブレッソンはその逆で、ひとつの被写体に大して様々な構図、露出を変えて何枚も撮っている。これは同じような決定的瞬間を捉えてきた二人の大きな違いとしてとても興味深い物だった。

とても影響されやすい僕は、久々にILFORDで撮ってみるか、と思ったのでした。

 同じく写美で同時開催されていたもうひとつの展示『出発ー6人のアーティストによる旅』も観てきた。こちらは所謂新進気鋭の若手作家6人による展示。尾仲浩二、百瀬俊哉、石川直樹、百々武、さわひらき、内藤さゆりの6人のうち、石川直樹と内藤さゆりの作品は観たことがあった。色々思うことはあったけれど、こうやって展示するのも面白そうだなと思ったり。しかしさすがに写美でやるには勇気いるけど…。

ともかく、実際に足を運んで見たり聴いたりすることの大切さ、楽しさを久々に実感した日になった。

そして、Black Lips来日までちょうどあと一ヶ月!

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